どうにも読売新聞が恥さらしな記事を上げているようです…
clip IT!
from 松浦晋也のL/D
「あまりにあんまりな記事にがっくり来る」
ネタ元はこちら、「世界の情報衛星丸裸、米科学者らがネットに軌道や高度」という記事なのですが、困ってしまうのは、先ず第一に「何を今更?」と云うコトであり、次に「コレのどこが科学ネタ?」と云うコトであり、ひょっとして「コレが日本の大多数の認識なのか?」と云うコトですね。
先ずは当たり前のことですが、人工物に限らず、宇宙という空間に運行している天体ってモノは、全て物理の法則という絶対的なルールの支配下にあります。よって、当然その軌道というモノは、ちょっと気合いを入れて観測するだけで誰にでも計算で求めることができてしまうわけです。最近では、個人で入手できる機材・計算機がもの凄く高精度で高性能、かつ、安価となっていますので、地球の縁に引っかかっている程度の人工衛星程度なら、事実上誰にでも観測・軌道算出できるという程度のモノです。
まあ、とは言え、私だって実際にそのような観測・計算をしたことがあるわけではありませんが、逆に実際に試すまでもない、ありきたりな常識として捉えております。また、実際に試すまでもなく、地球の周囲を回る天体の軌道は普通に公開されているわけですが、それも「別に隠せるものではないし隠しても意味はないし、もしデタラメを並べてもすぐに指摘されるのでウソを書いても仕方ないし」、という理由による訳です。
ということで、言わば「地球は太陽の周りを公転しています」という当たり前のことを指摘することが科学ネタである訳がないのです。つまり、偵察衛星(?)の軌道がバレてるよってコトから話を進めるなら、それは政治ネタか国際ネタか、或いはせいぜい経済ネタというカテゴリで扱うべき問題である訳です。
もっと言えば、軌道がすぐに公知のモノとなることなんて、打ち上げ前から分かり切っていたことなんですから、実際に打ち上げられる前に声を上げ、「そのような実効性に疑問が残る偵察衛星(?)をコストをかけて打ち上げ、更なるコストをかけ続けて運用することの是非を問う」的な方向から記事にするべきな訳です。
そして、最後に、一応新聞記者ってのは知的水準が高いってコトになっている訳で、最近は質が落ちてきているとしても、日本人の平均値をそれほど大きく下回ってはいないだろうと期待したいレベルを保っている、という前提があると思いますが、その新聞記者がこんな基本的な、当たり前な、取るに足りない問題にもならない程度のことを「新事実を発見!! どうするニッポン!?」的記事として書いてしまっていること、そのバカバカしさに気づけないまま記事として上げてしまう記者の上司の無知さ加減、から、ひょっとして「コレが日本の大多数の認識なのか?」と、戦慄してしまう訳です。
まさか、そんなことはないだろうと思いつつ、一人でも多くにこの異常事態を理解してもらうため、松浦サンのblogを取り上げてみました。
読み直したり関連TBを辿ったりして、この記事は政治・経済ネタとして書かれ、その効果を高めるためにわざわざ科学ネタにおかれたものではないかという気になってきました。
つまり、コレでは「不安だからもっと偵察衛星(?)を上げよう」という方向に誘導したいらしい、と。
…なんだかなぁ…